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| 困った時の漢方治療 ― その67 ― 「気管支喘息に小柴胡湯合桂枝茯苓丸」 |
【症例】本年1月,58歳の主婦が来院しました。 【主訴】喘息発作です。 【既往歴】特記すべき事はありません。 【現病歴】5年前に閉経を迎え,2~3年した頃から,喘息発作が起きる様になったという事です。特に季節の変わり目に喘息発作が多いという事でした。食欲は普通ですが,胃腸はあまり丈夫ではなく,しばしば腹が張り,食欲低下も時々認めています。検査では,アレルギー反応は陰性でした。【現症】体格・栄養状態は良好ですが,冷え性で特に足が冷え易く,夏はクーラーが嫌いです。身長160cm,体重53kgで,血圧は134/72でした。 【経過】とりあえず,喘息発作が強いので,発作止めとして「麻杏甘石湯エキス」を与えましたが,これがかなり有効でした。さて,発作は呼吸困難が主で,特に胸から喉にかけて詰まった様に苦しくなる。肩が凝る。体が冷えると発作が起きる事もある。特異な事は,発作の前にいつも乳房が張る。また発作は毎月1回来るという事でした。最近は,乳房が張ると発作が来るという事でした。腹診では,軽度の胸脇苦満(きょうきょうくまん)を認め,右腸骨上窩に強い圧痛を伴い,お血(おけつ)の徴候も認めました。「小柴胡湯合当帰芍薬散エキス」を与えてみましたが,乳房の張る感じは取れたが,喘息発作は続いていました。更に聞いてみると,発作時には,鼻水が出る。喉が詰まる。咳と共に白い泡状の薄い痰が多量に出る。心配事があると,喉がぜいぜいする。また,緊張すると発作は出ないと訴えます。そこで,「小青竜湯合半夏厚朴湯エキス」を用いてみると,始めは効果がありましたが,徐々に効き目が悪くなり,それに麻黄剤を飲んでいると,腹が張り,食欲が低下してきました。これらを経て,「小柴胡湯合桂枝茯苓丸エキス」を処方しました。この結果,喘息症状は明らかな好転を認め,2週間後,咳は著明に減少し,次第に喘息発作は起きなくなりました。1ヵ月後あれ程しつこかった喘息発作は影をひそめ,患者さんは,この薬が一番効果があると断言しました。腹満が治り,食欲も出て来ました。この後,3ヶ月経ったある日患者の希望で廃薬しました。今後,経過を見て行きたいと伝えています。
高田メディカルクリニック 院長 古川 一雄
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