上越市医院 高田メディカルクリニック
院長 医学博士 古川一雄   [HOME]
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老化防止のための漢方 − その9 − 「 花粉症 」
 例年、春になるとスギ花粉症にかかる方が多くなります。今年は昨年の猛暑の影響もあって、兼ねてから大流行が懸念されていました。
 毎年1月に入ると、花粉症の治療に当クリニック来られる患者様が何人かいらっしゃいます。まだ花粉が飛ばない内に治療をしておくと、本格的なシーズを迎えても花粉症の症状が出ないか、症状が軽くてすむのでと仰っています。予防の観点からすると良い方法だと思います。また、春だけでなく夏も秋も花粉に悩まされている患者様もおられます。その様に花粉に敏感なアレルギー体質をお持ちの方は、漢方による体質改善の治療を希望されて受診されています。アレルギーの体質改善にも漢方薬はとても有効なのです。
 2月の下旬から3月にかけてクシャミ、鼻水、鼻詰まり、喉の痛み、目の痒みなどの症状で来院される初診の患者様が増えてきました。今年になって初めて花粉症に発症してしまったと言う高齢の方も来院されました。一昔前までは花粉症と言えば、まず老人とは無縁と考えられていましたが、昨今は結構還暦を迎えた人達の間でもこの病気の人は珍しくありません。
 症状がきつい方の治療薬としては、一般的に抗アレルギー剤を使いますが、対処療法としては確かに有効ですが、100%阻止はできません。また、この類の薬には結構眠くなる副作用があり、仕事に影響します。そこで、老人の風邪に使われる事の多い「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」は、花粉症の最盛期にもとても有効で、即効性も期待できる漢方薬です。また、「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」に「加工附子末(かこうぶしまつ)」や「細辛末(さいしんまつ)」を加えると大変効果が増します。これを少し熱めのお湯で飲むと、口の中がモワーっと感じて鼻の詰まりや痒みが次第に取れていく感じが分かります。なんとなく鼻や口だけでなく、体の中が暖かくなる感じもあって、体の芯から効いてくる感じも分かります。但し、生薬の「麻黄(まおう)」に敏感な方には「小青竜湯」が適さないので、その場合は「苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)」が良いのですが、即効性に欠けると言う弱点もあります。何れにせよ、患者様お一人お一人に生まれ持った体質があり、生活のライフスタイルにも違いがある訳ですから、その方に一番適した治療薬を見つけ出す事が重要になります。

 「麻黄附子細辛湯」は、中国の後漢時代に張仲景(ちょうちゅうけい)によって著された医学書「傷寒論」の小陰病篇に収穫されている薬方です。この漢方は麻黄(まおう)、細辛(さいし)、附子(ぶし)の3つの生薬から構成されおり、昔から疲労感がある悪寒の強い感冒に用いられてきました。症状としましては、目眩、頭痛、悪寒、発熱、微熱、低血圧、頭痛、無汗、身体痛、四肢疼痛、咳嗽、食欲が無く、体の冷えがありような時に適しており、感冒、インフルエンザ、気管支炎、急性腎炎気管支炎、関節リウマチ、神経痛、腰痛症、慢性気管支炎、アレルギー性鼻炎、冷え症で鼻閉や水様鼻汁のある時の花粉症などの疾患に効果があります。

 「苓甘姜味辛夏仁湯」は、中国の後漢時代の名医・張仲景の著した医学書「金匱要略方論(きんきようりょくほうろん)」に収穫されている薬方です。この漢方には茯苓(ぶくりょう)、半夏(はんげ)、杏仁(きょうにん)、五味子(ごみし)、甘草(かんぞう)、 乾姜(かんきょう)、細辛(さいしん)などの7つの生薬が含まれており、喘鳴をともなう痰の多い咳や、冷え症、貧血、動惇などのある、体力の衰えている人の治療に向いています。適応症としましては、気管支炎、気管支喘息、心臓衰弱、腎臓病の改善や、冷え症があり、胃腸が弱く生薬の「麻黄」が使えない方の花粉症に用いられます。適応証としましては、体力がない虚証(虚弱)、寒証(冷え)、湿証(水分停滞)になります。


高田メディカルクリニック 院長  古川 一雄


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