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| 在宅医療・訪問看護のすすめ − その5 − 「お年寄りの生き方を尊重しましょう」 |
お年寄りとひとことで言っても、60歳と100歳では40年もの時間の開きがあります。20歳と60歳では明らかに違いが分かるのですが、何故私達はお年寄りだとこの開きを考えずに、一括りに考えてしまうのでしょうか? 老年期は個人差が大きく、心身両面に差が見られます。老年期の社会への対応も異なりますから、若い人以上に個性を重視してあげたいものです。 その為にはまず、生きてきた時間やその時代背景を理解してあげる事が大切です。例えば、戦争体験を経てきたお年よりは、慎ましい生活習慣を持っていたり、現在「呆け」の状態になっていても、昔の記憶が突然呼び覚まされて強烈な体験を言葉で語られたりします。夕方になると「空襲だ!」と騒いで戸外に飛び出してしまうお年寄り、食べ物に固執する人は戦争中のひもじい生活を強いられた名残かもしれません。「今、食べなければ永遠に食べられないかも知れない恐怖心、今度は何時食べ物にありつけるか分からない。」その様な体験は、現代では体験することは出来ないでしょう。 若い時は戦争で徴兵され、終戦後は外国で何年間か抑留され、戦死した仲間もいて辛い体験をして復員してきた人もいらっしゃいますし、ご主人が戦死されて、残された家族を守りながら、一人で子ども達を立派に育て上げた方もいらっしゃいます。往診に行って治療の後に時間があると、患者さん達の昔の体験を伺う事があります。話を聞いて色々と考えさせられる事があります。 中にはサバサバとした見事な生き方をしているお年よりもいます。子どもに頼らず、自分の行く末を見通して、遺言書を文書できちんと残して要らぬ争い事が起きないように準備をしている人や、健康管理に気を付けてなるべく寝たきりにならない様に予防している方もいます。在宅医療はその様な人達に喜ばれています。
年金問題や健康保険(医療制度)について考えさせられる問題が多い昨今です。歴史の流れの中で戦争時に生きなければならなかった方々、戦後の日本の復興に尽力され、身を粉にして働いて働いて国を支えて来られた方々の老後の生活が安心できるものであって欲しいと思います。また、これから国を支えて行かなくてはならない子ども達の未来が、希望のもてる社会であって欲しいと願っています。
高田メディカルクリニック 院長 古川 一雄
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