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| 老化防止のための漢方 − その15 −「長びく咳は漢方薬にお任せ」 |
風邪を引くと咳が出て、なかなか治らない場合があります。ちょっと体調が悪い位の風邪だったら、家でじっと休んでいれば自然に治ると安易に考えていたり、薬局で市販されている総合感冒薬か葛根湯を飲めば直ぐ治るだろうと考えている人も多いと思います。勿論、それで治る事もありますが、特に抵抗力がまだついていない小さなお子さんや抵抗力が年々落ちてきているお年寄りの方などは,いつまでも治らずに更に症状を悪化させてしてしまうことがあります。 先月、72歳の女性Aさんが来院されました。今年1月に風邪を引いてから3ヶ月を経過しても咳がいつまでも治らず、よく眠れないためか体がとても疲れる。夜寝ていると、決まって明け方に胸骨中央部でヒューヒュー、ヒーヒーと息苦しくなり寝汗をかいて体がジットリするということでした。風邪の引き始めの頃、軽い風邪だと自己判断して何処の医者も受診しなかったそうです。その後、なかなか治らないので総合病院で受診し、胸部検査で「気管支拡張症」と言われたそうです。 Aさんを診察してみると、平素は丈夫で汗っかきということ以外、腹診上でも特別な以上はありませんでした。この様な場合は、やはり漢方が良いと判断し、Aさんも漢方薬を希望されましたので、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」と「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」を組み合わせて服薬してもらう事にしました。出来れば「味麦益気湯(みばくえっきとう)」を処方したかったのですが、このエキス製剤がまだ売られていないので組み合わせの処方としたわけです。服薬して2週間経過した頃には、明け方に出ていた咳は殆どなくなり、疲れもとれてきました。更に1週間後には、咳は完全に出なくなり、他の風邪の症状も全て無くなりました。 「味麦益気湯」は、「補中益気湯」という漢方薬に「麦門冬(ばくもんどう)」と「五味子(ごみし)」を加えたもので、喘息の予防薬としても効果があり、昔から肺結核などで咳嗽がある時に用いられてきました。また、長期の服薬で呼吸器や消化器の機能を強くします。「補中益気湯」証、つまり虚証タイプで、乾咳が出るものに有効です。エキス剤では「五味子」が入りませんが、比較してみても効果的には殆ど変わりません。今回は、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」と「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」を合わせる処方に致しました。「味麦益気湯」は、他に「補中益気湯」と「生脈散(しょうみゃくさん)」の2種類の漢方薬を合わせる処方で代用する事も可能になります。
高田メディカルクリニック 院長 古川 一雄
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