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2007年12月 |
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| 困った時の漢方治療 − その55 − 「調子の良い日がない (2)」 |
ある日、36歳の会社員の女性が、「生理のたびに風邪を引くので漢方で治せないでしょうか?」ということで、当クリニックに来院されました。 問診では、「生理不順、生理痛、手足や腰の冷え、全身のむくみ、下痢になったり、便秘になって痔になったり、胃がもたれたり、目眩、立ちくらみ、頭痛、疲れ易く朝が起きられない、生あくび、口内炎が出来易い、時々眠れない」などの複数の症状があると記入されていました。この問診票を見ながら更に症状を聞いてみると、「夕方には足が浮腫んでくっきりと跡がつき、生理は遅れがちで、時々2ヶ月位間が開きます。生理の時は3日間かなりの量の出血があり、生理痛がきつく、下腹部が張ってスカートが入らなくなってしまうのです。夏に冷房を入れると直ぐ下痢になり、足が冷えてくるとクシャミが止まらなくなり、靴下は3枚も重ね履きをしています。生理のたびに風邪を引き、長引くのです。これまで、抗生物質を飲むと下痢になるので、医者にはかからないようにしていました。」と、ざっとこんな複数の訴えがありました。そこで腹診をしてみますと、白くて柔らかく、皮下脂肪がついていて、ポッチャリとしています。 この患者さんは、腹診の結果と月経が遅れがちな事、冷え性、胃腸障害、便秘や下痢を繰り返す等より、虚証で陰証と思われます。また、五臓では消化機能が低下した碑虚、気血水では血の不足した血虚と血の停滞したお血、むくみ・下痢・便秘等より水の異常による水滞が認められます。 こういう場合、婦人病の代表方剤の一つである「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」がよく使われます。一般には「蒲柳の質」と形容される様な虚弱タイプの女性の冷え性・腹痛・頭痛・不妊・月経痛・貧血・むくみ等に適用があるとされています。また、月経時に悪化する感冒様症状にも効果があるとされています。但し、脾虚が強すぎた場合は「六君子湯(りっくんしとう)」や「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」で胃腸を整えてから使用した方が良い場合もあります。 この方の場合には「当帰芍薬散」を続けて頂いて徐々に風邪が引き難くなり、その他の症状も楽になっています。
「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」は、漢方の古典といわれる中国の医書「金匱要略(きんきようやく)」の婦人妊娠病、婦人雑病に収載されている薬方です。成分としては、芍薬(シャクヤク)・蒼朮(ソウジュツ)・茯苓(プクリュウ)・川きゅう(センキュウ)・当帰(トウキ)等です。当帰・川きゅうは血の冷えを温め造血をはかる働きを持っています。芍薬とともに血液の働きを増します。茯苓・白朮で冷えやむくみなどの原因となる体内の余分な水分を尿として流すことによりむくみや生理痛・生理異常を改善します。
高田メディカルクリニック 院長 古川 一雄
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