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| 困った時の漢方治療 − その42 − 「不安、不安、不安」 |
ある日、54歳の会社員の男性が来院しました。このYさんの抱えている問題は、30年来続いている咳などの呼吸器症状と、過敏性大腸、耳鳴り、目眩、不安感でした。特に呼吸器症状は、30年以上前に肺結核で入院し、その後に結核の再発はありませんでしたが、気管支喘息、気管支拡張症などの診断で、ずっと診察を続けてきました。季節によっては長い期間に渡り痰と咳が出続けますし、1年を通して風邪を引き易く、治りにくいのです。ペニシリンやピリン類には薬疹がでますし、気管支拡張剤では動悸や吐き気が伴います。また、抗生物質を飲むと必ず下痢をし、胃が痛みます。 このような状態の時は、やはり漢方の出番となります。Yさんの体質が虚弱な事を考慮して、今回は「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」「苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげじんとう) 」を処方しました。痰の切れがよくなり、咳の回数もぐんと減りました。Yさんは、「また風邪をひいたらどうしよう」と、とても心配されていたので、処方を「香蘇散(こうそさん)」「補中益気湯( ほちゅうえっきとう )」に変更したところ、呼吸器の症状は消失しました。 冬のある日の事でしたが、Yさんは運悪くインフルエンザ(ワクチンを打っていなかった為)に感染してしまいました。その年は、インフルエンザの流行が例年に比べて早かったのです。この時も「肺炎になったらどうしよう」とパニックになり、頭の中が混乱してしまった様でした。Yさんのインフルエンザの治療には、「タミフル」等の西洋薬の他、「加味帰脾湯( かみきひとう ) 」を処方し、不安感と下痢はずっと楽になりました。
高田メディカルクリニック 院長 古川 一雄
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