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| 困った時の漢方治療 − その41 − 「心を傷つけられた人達の味方」 |
最近、当クリニックでよく使う薬の中に、「抑肝散加陳皮半夏( よくかんさんかちんぴはんげ )」があります。この薬を度々処方する様になったきっかけは、54歳の主婦であるTさんが、当クリニックを受診するようになってからになります。Tさんは今まで血圧は低めで何ら問題がなかったのですが、人間ドックの検査で血圧の数値が156/92と突然高くなり、その後に何回測り直しても高いままなので心配になって、来院したという事でした。 診察して色々と訴えを聞いてみると、ひどい頭痛の他、始終イライラして、寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚めるので眠った気がしないと仰います。血液検査の結果等には異常はありませんでしたが、一週間経過しても血圧は高いままでした。不眠も以前は無かったのに、それ以来ずっと熟睡できないとの事でした。 「何か眠れない様な心配事は無いのですか?」と伺ったところ、会社を経営しているご主人の事務所の伝票整理をしていた時、新しい電話の設置と毎月の不動産業者への支払いがある事に気がつきました。その後にご主人を問い詰めたところ、浮気を白状したそうです。そのことを説明しながら、Tさんは悔しそうな顔つきになり、目からは大粒の涙がボロボロと流れて止まらなくなりました。 それで、Tさんの体調が急におかしくなった原因が分りましたが、時が解決するのを待ってはいられない状態でしたので、「抑肝散加陳皮半夏」を処方する事にしました。2週間経過した頃、血圧は正常化し、イライラ感も激減し、目が吊り上がって壊れそうな顔つきはもう無くなっていました。 この「抑肝散加陳皮半夏」という漢方薬は、中国の漢方書「保嬰撮要(ほえいさつよう)」に詳しく書かれています。「抑肝散(よくかんさん)」という元々は小児の癇、ひきつけに用いられた処方に、我が国での使用経験から「半夏(はんげ)」と「陳皮(ちんぴ)」という生薬を加えて、成人にも適用するように工夫された薬方なのです。 虚弱体質で神経がたかぶる神経症、不眠症に効果があります。
高田メディカルクリニック 院長 古川 一雄
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