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| 困った時の漢方治療 − その79 − 「私の好きな不思議な薬」 |
漢方でいう『水毒』とか『利水剤』という言葉は、漢方薬になじみのない一般の人たちには、いかにもいかがわしく思えるかもしれません。「水毒」とは、体の中で「水が偏在している」とか「水の循環が悪い」とか「水はけが悪い」等と説明されています。「利水剤」を使って「水毒」がピッタリと治った実例を何回も経験してみると、「利水剤」なしでの漢方治療は考えられません。この「水毒」を治す「利水剤」の代表に「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」があります。水が胃に滞留し、食欲がなくなったり、上半身に水が過剰になって、耳に作用してめまいを起こしたり、頭が重くなったり、体のどこかに「むくみ」があって、その為に痛んだり、重くて動けない状態に効果的です。 ある日、「関節リウマチ」と診断された40歳の女性Nさんが来院しました。ステロイド剤等の内服で「関節痛は治まっていますが、目眩があり、体も重く感じられて、歩くのが苦痛になるので何とかしてほしい」という事でした。腹診すると、腹力がなく軟かく、お臍の左横では動悸を触れ、みぞおちを軽く叩いてみるとポチャポチャと水のゆれる音がしました。 これらの症状とNさんの虚証(虚弱体質)な事を考慮して、「半夏白朮天麻湯」を処方しました。この漢方がよく効いて、体のむくみがとれて、悩んでいた症状が軽減され、2ヶ月後には症状が改善されたそうです。 「半夏白朮天麻湯」は、中国元時代に書かれた医学書「脾胃論(ひいろん)」に詳細に書かれています。体の水分代謝を正常にして、低下した胃腸機能を高め、めまいや頭痛を改善する薬方として用いられています。
高田メディカルクリニック 院長 古川 一雄
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