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| 0歳からの漢方治療 − その24 − 「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」 |
中耳炎といえば、鼓膜の充血、耳の疼痛、一過性の聴力低下などがつきものですが、このところ音もなく静かにやってくる中耳炎(滲出性中耳炎)が増えつつあります。テレビの音を大きくしていたので、心配して子どもを連れて耳鼻咽喉科を訪ねたら滲出性中耳炎であった例や、学校健診で聴力低下がみられたのでよく調べたら、これもまた滲出性中耳炎であった例などが認められています。現在問題になっているこのタイプの疾患は、子どもばかりでなく大人にもじわじわと増えています。しかも、治療に難渋し、聴力低下などの心配もかかえている病気です。原因は未だに解明されていませんが、何らかの形でアレルギーが関与しているだろうと考えられています。 急性の中耳炎は、現代医学の治療で十分ですが、問題は慢性化したり、繰り返す場合です。この滲出性中耳炎の漢方治療には、「小柴胡湯(しょうさいことう)」や「五苓散(ごれいさん)」の合剤である「柴苓湯(さいれいとう)」が、多くの例で効果をあげています。「少柴胡湯」は抗アレルギー作用と消炎作用、「五苓散」は水毒の薬として有名なので、これを応用した先人のアイデアは素晴らしと思います。学会、各地の研究会で示されたデーターは、今までの西洋医学の薬と比べれば、かなり優れたものとなっています。
「柴苓湯」は、小柴胡湯と五苓散を合方した漢方薬です。小柴胡湯と五苓散は共に後漢時代の名医、張仲景の治療法を伝える漢方の古典『傷寒論(しょうかんろん)』『金匱要略(きんきようりゃく)』に収載されておりますが、小柴胡湯と五苓散を合方した柴苓湯の記載はありません。中国元代に著された医学書『世医得効方(せいとくこうほう)』には、二つを合方した薬方の「柴苓湯」が記載されています。 「柴苓湯」は柴胡(さいこ)、沢瀉(たくしゃ)、半夏(はんげ)、猪苓(ちょれい)、白朮(はくじゅつ)、茯苓(ぶくりう)、 黄ごん(おうごん)、桂皮(けいひ)、大棗(たいそう)、人参(にんじん)、甘草(かんぞう)、生姜 (しょうきょう)の12種類の生薬から構成されています。小柴胡湯により体の免疫反応を調整し炎症をやわらげる働きがあり、五苓散により水分循環を改善しながら無駄な水分を取り作用がありますので、浮腫あるいは水様下痢にも効果があります。また、腎炎やネフローゼ、喘息や肝炎などアレルギーや免疫系がかかわる病の治療や半夏・生姜が止嘔に働く事から、悪心・嘔吐を呈する肝胃不和にも効果があります。 人参・白朮・茯苓・甘草・大棗による補気健脾の効能もありますので、脾気虚が明らかな場合にも有効なのです。
高田メディカルクリニック 院長 古川 一雄
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