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| 困った時の漢方治療 − その5 − 「風邪 − 1」 |
私が漢方の勉強を始めた頃、簡単でいて実に多彩な応用のできる処方のあることを知って驚いた事がありました。その代表格が「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」です。それは、『傷寒論(しょうかんろん)』という急性感染症治療を扱った漢方の古典に詳しく書かれています。江戸時代には、風邪を治すために「葛根湯(かっこんとう)」より、「柴胡桂枝湯」がよく使われていたようです。これは、「桂枝湯(けいしとう)」と「小柴胡湯(しょうさいことう)」を合わせた処方です。「桂枝湯」は虚弱体質の人が軽い風邪などをひいたときに使う薬で、これを熱い粥などと一緒に服用すると効果を発揮します。「小柴胡湯」は肝炎の薬としてクローズアップされていますが、病邪が普通の人の体の奥に入ったときに現わす症状を軽くする作用もあります。風邪で食欲が落ちたり、むかつくときにもよいし、寒気がして、熱が出たりしたときにもよく効きます。いずれにしても「柴胡桂枝湯」は、ちょっと風邪がこじれて微熱がとれなかったり、少しの悪寒が続くときに体を暖める一方で、熱を下げるという矛盾するような作用を持っています。
高田メディカルクリニック 院長 古川 一雄
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